予約外来(午前)
小児神経疾患を中心に診療させて頂きます。
脳性麻痺
「受胎から生後4週以内の新生児までの間に生じた、脳の非進行性病変に基づく、永続的な、しかし変化しうる運動および姿勢の異常」というのがWHOの定義です。
原因は胎生期(脳奇形など)、周産期(仮死分娩など)、出生後(脳炎など)など様々です。
麻痺のほか、筋緊張の異常や関節の変形などを伴い、継続的なリハビリテーションや装具の作成などが必要です。
けいれん性疾患
てんかん、熱性けいれんなどです。てんかんは小児期、特に乳幼児期に発症することが多い疾患ですが、適切な薬物治療により、小児期発症のてんかんの70-80%は完治させることが可能といわれています。定期的な脳波検査と薬物血中濃度を含む血液・尿検査が必要で、当クリニックでは脳波検査は関連医療機関で受けて頂きます。
発達障害
自閉症スペクトラム(ASD)、注意欠如多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などが含まれます。薬物療法も試みられますが、基本は患児に対する適切な声かけ・配慮など、環境整備がとても大切です。
先天奇形症候群
21トリソミー、ターナー症候群、プラダーウイリー症候群、アンジェルマン症候群、22q11.2欠失症候群、CHARGE連合など様々な症候群があります。それらの症候群に認められる全身の併存症を、きめ細かく健診していく必要があります。
神経代謝・変性疾患
多くは遺伝子異常が原因と考えられ、進行性の疾患も多く含まれます。神経症状以外に呼吸機能、心機能、消化吸収機能、腎機能などが、加齢に伴って低下してくる場合があり、それらの状況を経時的に評価し、必要に応じて後述する各種医療的ケアを指導していきます。
筋疾患
先天性ミオパチー、福山型やDuchenne型などの筋ジストロフィー、重症筋無力症などがあります。呼吸筋の筋力低下が進む場合には、在宅人工呼吸療法などの導入を検討します。
神経皮膚症候群
結節性硬化症、神経線維腫症、スタージウエーバー症候群などが含まれます。皮膚症状の他、神経症状など他の合併する症状をフォローしていく必要があります。関連各科との連携が重要です。
それ以外にも、もやもや病などの脳血管疾患、脳腫瘍、脊髄性筋委縮症などの脊髄疾患、ギランバレー症候群などの末梢神経疾患、起立性低血圧などの自律神経疾患、骨系統疾患など小児神経疾患は多岐にわたります。これらの病気と向き合っているお子さんと、そしてそのご家族と、医療を通じて共に歩ませて頂きたいと願っています。
訪問診療(午後)
通院することが困難で、様々な医療的ケアを受けている小児神経疾患の方々が対象となります。
医療的ケア
医療行為は本来、医師あるいは医師の指導を受けた看護師しか行うことができませんが、医療行為と、「薬を飲ませる、鼻水をかむ、爪を切る」などの日常行為との中間に位置する、生活援助を目的とした医療的行為をいいます。今回対象となるのは、以下の指導管理を必要とするご家族が中心となって行うケアです(在宅人工呼吸指導管理、在宅酸素療法指導管理、在宅気管切開患者指導管理、在宅成分栄養経管栄養法指導管理、在宅小児経管栄養法指導管理、在宅中心静脈栄養法指導管理、在宅自己導尿指導管理、在宅寝たきり患者処置指導管理など)。
自宅で人工呼吸器を装着している方、胃チューブや胃瘻などから栄養を注入している方、自己導尿をしている方などの全身状態を評価し、ご家族が適切に、無理なくケアを実施されているか、ご自宅に直接赴いて相談を受けさせて頂きます。
子どもを対象とした訪問診療(在宅医療)はまだ限られた医療機関でしか実施されておらず、とても社会的ニーズが高い領域だと思います。様々な医療的なケアが必要でも、ご自宅で、病気と向き合うお子さんと一緒に生活したい、と願うご家族は多いです。ただその思いと裏腹に、気の抜けないケア、頻回のケアのために孤立し、疲弊してしまうご家族も多いのが現状です。これらのご家族を少しでも支え、共に歩む医療を目指していきたいと思っています。
訪問診療は原則、月に2回行わせて頂きますが、必要に応じて臨時で往診を行います。
在宅療養計画書を作成しご家族と情報を共有させて頂くと共に、関連医療機関と連携して診療にあたります。
書類作成(適宜)
以下に示す各種書類を適宜作成いたします。
小児慢性特定疾病医療意見書、指定難病臨床調査票、自立支援医療診断書(精神通院)、障害年金診断書、身体障害者診断書・意見書(肢体不自由、呼吸障害)、精神障害者福祉手帳用診断書、児童扶養手当認定診断書、特別障害手当承認診断書、療育医療意見書、学校生活管理指導表、訪問看護指示書、施術同意書(マッサージなど)など。必要時に受付にお申し出ください。